間違えやすい論点の整理
情報セキュリティマネジメント/公開 2026-10-15・更新 2026-10-15/執筆:panda studio(このサイトの運営者)
情報セキュリティマネジメントの問題を解説するなかで、運営者が「似た言葉や式と取り違えやすい」と考えた論点を5つ整理しました。各論点の下に、このサイトで実際に解ける関連問題を付けています。
- リスク対応の4つ(回避・低減・移転・保有)
- 機密性・完全性・可用性と、真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性
- 公開鍵・秘密鍵・デジタル署名の鍵の使い分け
- 攻撃手法の名前(水飲み場型・SQLインジェクション・XSS・CSRF ほか)
- ISMSの規格の番号(JIS Q 27000・27001・27002)
1. リスク対応の4つ(回避・低減・移転・保有)
- 回避:リスクの原因になる活動そのものをやめる(例:危険な業務を中止する)。
- 低減:対策をして、起こりやすさや影響を小さくする(例:暗号化、教育)。
- 移転(共有):保険や外部委託で、損失の負担を他者と分ける。
- 保有(受容):対策の費用が見合わないときなどに、リスクをそのまま受け入れる。
運営者の見方:「保険をかける」は損失の発生そのものは減らないので低減ではなく移転、「何もしないと決める」は放置ではなく保有、という2点が最も取り違えやすいところです。
このサイトの関連問題:問題文か選択肢に「リスク回避」「リスク移転」「リスク保有」「リスク低減」「リスクの回避」などを含む問題が3問あります(言葉で機械的に拾ったため、論点と直接関係しない問題が含まれることがあります)。
- H30春 問2リスク対応のうち、リスクの回避に該当するものはどれか。
- H30秋 問37JIS Q 27001:2014(情報セキュリティマネジメントシステム-要求事項…
- R6 問1JIS Q 31000:2019(リスクマネジメント-指針)におけるリスクアセス…
2. 機密性・完全性・可用性と、真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性
JIS Q 27000 では、情報セキュリティを「機密性・完全性・可用性を維持すること」とし、さらに真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性のような特性を含めることもあるとしています。
- 真正性:その人や情報が、主張どおりのものであること(なりすましでない)。
- 責任追跡性:誰がいつ何をしたかを後からたどれること(ログの記録など)。
- 否認防止:行った操作を後から「していない」と否定できないようにすること(デジタル署名など)。
- 信頼性:意図したとおりに一貫して動作すること。
運営者の見方:ログは責任追跡性、署名は否認防止、と「対策→特性」の向きで覚えておくと、事例から特性を選ぶ問題で迷いません。
このサイトの関連問題:問題文か選択肢に「機密性」「完全性」「可用性」「真正性」「責任追跡性」などを含む問題が15問あります(言葉で機械的に拾ったため、論点と直接関係しない問題が含まれることがあります)。
- H28春 問9“不正のトライアングル”理論において、全てそろったときに不正が発生すると考えられ…
- H28秋 問5ファイルサーバについて、情報セキュリティにおける“可用性”を高めるための管理策と…
- H28秋 問21情報の“完全性”を脅かす攻撃はどれか。
- H29春 問42ITサービスマネジメントにおける問題管理プロセスの目的はどれか。
- H29春 問44ホットスタンバイ方式を採用したシステム構成の特徴はどれか。
3. 公開鍵・秘密鍵・デジタル署名の鍵の使い分け
公開鍵暗号では、鍵の「持ち主」と「使う場面」を分けて覚えると取り違えが減ります。
- 暗号化して送る:送信者は受信者の公開鍵で暗号化し、受信者は自分の秘密鍵で復号します。
- デジタル署名:送信者が自分の秘密鍵で署名し、受信者は送信者の公開鍵で検証します。改ざんの検知と、本人が送ったことの確認に使います。
- 共通鍵暗号:暗号化と復号に同じ鍵を使います。n人が互いに別の鍵でやり取りするには n(n−1)/2 個の鍵が要り、公開鍵暗号なら1人1組(計2n個)で済みます。
運営者の見方:問題文に「誰の」「どちらの」鍵かが必ず書かれているので、選択肢を読む前に「この場面は暗号化か署名か」を先に決めると、似た選択肢に引っ張られにくくなります。
このサイトの関連問題:問題文か選択肢に「公開鍵」「秘密鍵」「共通鍵」「デジタル署名」を含む問題が21問あります(言葉で機械的に拾ったため、論点と直接関係しない問題が含まれることがあります)。
- H28春 問24公開鍵暗号を利用した電子商取引において、認証局(CA)の役割はどれか。
- H28春 問30AさんがBさんの公開鍵で暗号化した電子メールを、BさんとCさんに送信した結果のう…
- H29春 問19二者間で商取引のメッセージを送受信するときに、送信者のディジタル証明書を使用して…
- H29秋 問23非常に大きな数の素因数分解が困難なことを利用した公開鍵暗号方式はどれか。
- H30春 問29ディジタル証明書をもつA氏が、B商店に対して電子メールを使って商品を注文するとき…
4. 攻撃手法の名前(水飲み場型・SQLインジェクション・XSS・CSRF ほか)
- 水飲み場型攻撃:標的の組織の人がよく見るWebサイトを改ざんし、訪れた人をマルウェアに感染させる。
- SQLインジェクション:入力欄にSQLの一部を入れ、データベースを不正に操作する。
- クロスサイトスクリプティング(XSS):Webページにスクリプトを埋め込み、閲覧者のブラウザで実行させる。
- クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF):ログイン中の利用者に、意図しない操作のリクエストを送らせる。
- ソーシャルエンジニアリング:電話でのなりすましなど、技術ではなく人の心理や行動の隙を突いて情報を得る。
運営者の見方:「どこで実行されるか(サーバのデータベースか、利用者のブラウザか)」で XSS と SQLインジェクションを、「利用者が気づかずに送るか」で CSRF を区別するのが近道です。
このサイトの関連問題:問題文か選択肢に「水飲み場」「SQLインジェクション」「クロスサイトスクリプティング」「クロスサイトリクエストフォージェリ」「ソーシャルエンジニアリング」などを含む問題が8問あります(言葉で機械的に拾ったため、論点と直接関係しない問題が含まれることがあります)。
- H28春 問13クライアントとWebサーバの間において、クライアントからWebサーバに送信された…
- H28春 問21クロスサイトスクリプティングに該当するものはどれか。
- H28秋 問22クロスサイトスクリプティングの手口はどれか。
- H28秋 問25緊急事態を装って組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する不正な行為は、ど…
- H29春 問21ソーシャルエンジニアリングに該当するものはどれか。
5. ISMSの規格の番号(JIS Q 27000・27001・27002)
- JIS Q 27000:用語と定義。
- JIS Q 27001:ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の要求事項。第三者認証の基準になる規格です。
- JIS Q 27002:情報セキュリティ管理策の手引き(具体的な管理策の実践の規範)。
収録分では、規格の番号が問題文か選択肢に出てくる問題が多くあります(下の関連問題の数)。運営者の見方:「27001=何をしなければならないか(要求)」「27002=どうやるか(管理策)」と覚えると、番号を入れ替えた選択肢を消せます。
このサイトの関連問題:問題文か選択肢に「JIS Q 27000」「JIS Q 27001」「JIS Q 27002」「ISMS」を含む問題が30問あります(言葉で機械的に拾ったため、論点と直接関係しない問題が含まれることがあります)。
- H28春 問6JIS Q 27001に基づく情報セキュリティ方針の取扱いとして、適切なものはど…
- H28秋 問10情報セキュリティ意識向上のための教育の実施状況をJIS Q 27002に従ってレ…
- H29春 問1JIS Q 27001:2014(情報セキュリティマネジメントシステム-要求事項…
- H29春 問11JIS Q 27001:2014(情報セキュリティマネジメントシステム-要求事項…
- H29秋 問2組織がJIS Q 27001:2014(情報セキュリティマネジメントシステム-要…
出典・参考
この記事の数字は、このサイトに収録している情報セキュリティマネジメント試験の問題(IPA公開問題。出典は各問題のページに記載)から集計しました。収録の範囲は出典・このサイトについてをご覧ください。内容の誤りはお問い合わせからお知らせください。